若者が活字離れしているので本は売れないのウソ

念のため強調しておきますが、
出版に関わるビジネスは基本的に儲かりません。
なぜなら本自体があまり売れない上に、
業界構造に問題が多く利益が出づらいモデルだからです。

ともあれ、ここで注意していただきたいのは、
本が売れないのは、巷で言われているような、
若者を中心とした活字離れが進んでいるから、というわけではありません。

これは、出版社の無能な経営者が、手前の無能さを認めたくないがゆえに、
外部に責任を転嫁すべく出た苦し紛れの言葉です。

そもそも、現代の人たちは、
歴史上類をみない程に活字に触れています。
そのバリエーションが、本以外に増えただけの話です。

いうなれば、本が売れないのは、
その他の競合となるコンテンツに対して、
マーケティング上の努力がたりないがゆえなのです。

たとえば、今では誰もがスマートフォンを持っています。
そして、時間さえあれば、インターネットを閲覧したり、
ソーシャルメディアでの発信を楽しんだりしていますよね。
それらもまた、活字に触れているわけでして。

その分量たるや、1日に
ビジネス書1冊分相当の10万文字を超えるなんてこともめずらしくありません。
それにも関わらず、そのために必要なコストといえば、わずかながらの通信費だけです。

そんな中、紙の本は書店に行かなければ買うことができない、
ネットで買ってもすぐに読めない、
読むために重たい本を都度持ち歩かなければならない、
読み終わったあとの置き場が必要ともなると、
やはり競争力で大きく劣るといわざるを得ません。

それにも関わらず、
「若者の活字離れが~」などといった、
いいわけばかりをくり返し、現実を直視せず、
具体的な対策も講じてこなかったわけです。
そりゃ、今のような斜陽になります。

私たちが現実として理解しておくべきは、
老若男女問わず、活字離れはしていないということ。
ただ、その一方で、
お金を払ってコンテンツを買うという意識が希薄になっていて、
さらに物体としての本には価値を見出していないどころか、
マイナスに感じている人が多いということです。
この前提で、どのようにコンテンツビジネスに取り組むかを考えるべきなのです。

もちろん、出版ビジネスは、単体では儲かりません。
それは、高利益率を誇る電子書籍とて例外ではありません。
ただ、書籍を入り口にして自分のビジネスにつなげるという展開は可能です。

だからこそ、「活字離れが進んでいる」という誤解は、その基本的なマーケティングアプローチを根本的に狂わせかねないことなので、現実を正しく理解しておくべきでしょう。

ともあれ、はじめのうちは、
出版社の経営陣たちが、手前どもの無能さを隠すためのいいわけだった
「若者の活字離れ」という考えですが。
いつしか、それを事実と思い込む出版関係者も増えていました。

結果として、本が売れない前提での出版企画が多くなり、
コンサバな新刊本をリリースすることでの延命措置しかできなくなっているのが現状なのです。

加えて「若者の活字離れ」という言葉は、
言霊のように、一般の人たちにも浸透しました。
結果として「誰も本を読んでいないのだから、自分も読まなくていいだろう」と、
本から離れていった人たちもかなりたくさん存在しています。
実態としては、インターネットなどで、
かつてないほどの膨大な活字に触れているわけですが、
本人たちにはその自覚がないのです。

かくして、出版社の無能な経営陣による保身の言葉は、
さらに自らのクビをしめることになった、というわけです。

いずれにせよ、紙の本を持ち歩くというライフスタイルが完全に根絶されつつある昨今では、
今後も紙の本が復権することは現実的ではないでしょう。
実際、その流通網である書店も相次いで倒産していますからね。

そんなこんなで、紙の本という競合しうる産業が勝手に自滅してくれたとあって、
電子書籍には、むしろますます
大きなチャンスがやってくる可能性が高いといえるでしょう。




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