出版社に企画書を送れば出版できるのウソ

著者になることを夢見て、
具体的な行動を起こした人がエジキになるのがこの誤解です。

著者になるための指南本や、出版塾に参加すると、
「出版企画書を書いて出版社に送りましょう」などという決まり文句と共に、
企画書の書き方についての解説が行われています。

実際、その作業に手間が掛かることや、
企画書といういかにもビジネスチックなプロセスを挟むとあって、
一見もっともな理屈に聞え、効果的なアプローチに思われがちです。

しかし、私の親しい某大手出版社の編集者いわく、
ほとんど全ての企画書は、読まずにゴミ箱に直行だそうです。
開封さえされないそうです。

そもそも、大手の出版社ともなると
1日に100通近い企画書が届くこともあるそうです。
ただでさえ、出版不況でコストを切り詰めながら、少人数で編集にあたっている中で、
そんな生産性の低い作業にあたる余裕なんてあるはずがありません。

ゆえに、読まずにゴミ箱、というのは
決して、出版社の、編集者の思い上がりでも何でもなく。
余裕がないがゆえにやむを得ない、という事情もあるのです。

いずれにせよ、出版社のこういった事情ゆえに、
出版塾に高い参加費を払って参加したところで、
まったく意味のない作業を学び、添削をしてもらっているということです。
企画書も、原稿も、読んですらもらえないわけですからね。

こういった事情を踏まえて、
最近では出版社に事前に電話をして、
編集担当の名前を聞き出した上で企画書を送りましょうと指南するようになっているようです。

しかし、残念ながら、その方法もまた封じられているのが実際のところです。

どういうことかというと。

ある大手出版社は、
その手の持ち込み企画書の受け付け用に架空の社員を作りあげているのです。
そして、「企画が通りましたらこちらから打ち合わせの人って意をご連絡いたします」と応対させるのです。

いうまでもなく、その架空社員宛に届いた企画書は、即座にそれとわかりますから、
自動的にゴミ箱に直行します。
そして、「企画が通ったら連絡をする」という大義名分の元、
それだけで対応業務は完了できる、というわけです。

と、いうわけで、出版社がはなから、持ち込みの企画書なんて読む気がないわけです。
そこに、何度企画書や、サンプル原稿を送ってもムダなのはいうまでもありませんよね。

それこそ、郵送費だって無料ではないわけです。
さらに、やる気と熱意を伝えるために速達なんて使っていたら、もはや悲劇でしかないですよね。

こういった出版社の対応に、憤りを感じるかもしれません。

ただ、ご存じのとおり、今はもう歯止めがきかないレベルの出版不況です。
それゆえに、新人著者を発掘するというギャンブルをするだけの余裕が、
どこの出版社にもないのです。

それに、仮にその掛けに勝ったとしても、
専属契約でしばるなんてことは、よほど力のある大手出版社でもない限りできないわけでして。
結局、発掘の骨折り損だけをして、
おいしいいところを大手に持っていかれるなんてこともありうる話なのです。
逆に負けたら、他社に書店の棚を奪われることになりかねませんからね。

あと、書店での展開を考えた場合、
やはり他社でも本を出している著者に依頼した方が
出版社としても営業の手間がなくなるので、
これまたコストダウンにつながっておいしいいのです。

たとえば、メンタリストDaiGoさんは
様々な出版社から著書を出されておりますよね。
それゆえに書店では「メンタリストDaiGoコーナー」といった具合に、
あらゆる出版社から発売された著書が、
ひとまとめにされていることが多いわけです。

これで助かるのは、とりわけ中小規模の出版社です。
労せずして、書店に自社商品の置き場を確保できるわけですからね。

そして、このことからもおわかりいただけるでしょうが。

一見敷居が低そうに見える中小規模の出版社の方が、
実は経営方針はコンサバで、有名著者としか付き合いたがらない傾向があります。
もちろん、一部の例外こそありますが・・・。

いずれにせよ、企画書を書いて出版社に送付というのは、
著者になる上で意味のない行動です。

むしろ、その不毛な努力をくり返すことにより
学習性無力感を覚え、著者になることをあきらめる遠因にもなりかねません。
そういった意味では、
著者へのあこがれを断ち切るための儀式のようなものなのかもしれませんね。

ともあれ、私自身も、著者になるための指南書や、出版塾の教えにならい、
この意味のない儀式をくり返していたとあって、
編集者の知人に実情を聞いたときはショックでした。

それでも、出版業界の現状を考えれば、
それも致し方ないことなのかな、と納得するしかありません。

そして、他の方法を模索するべきなのでしょう。




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