10年以内の倒産率90%はウソ

独立起業後の生存率は10%にも満たない。

こんな話を聞いたことがあると思います。

裏を返せば、10年以上存続するような会社はずば抜けた存在であり、
そんな会社を起業した社長は、選ばれし者といえるかもしれません。

とはいえ、私もまもなく独立起業から10年が経ちますが。
何もしないで家でゴロゴロしていたとしても、
キャッシュフロー的に絶対に倒産しません。

ゆえに、私の会社は社会的にずば抜けた存在であり、
私は神に選ばれ氏存在なのか、というと・・・。

たぶん、そんな特別な存在ではないと思います。

というのも、独立間もない頃から付き合いのある友人社長の中で、
廃業した方は1人たりともおりません。

もちろん、私の周りにいる方々が、
たまたま世界有数の有能な人物という、
トキワ荘状態の可能性もあるかもしれません。

しかし、世間一般を見わたしても、
廃業している人の方がマイノリティであり、
先の「10年後生存率は10%未満」というデータも
「10年後倒産率は10%」の間違いではないかとさえ思うほどです。

事実、1年ほど前に、
武田さんという、創業して間もない頃に知り合って、
その後もずっと仲良くしていただいている、
同い年の友人社長と食事をしたときに、こんな話がありました。

 武田「関口さん、超ビッグニュース!!」

 関口「え?どうしたん」

 武田「飯田さん、飛んだくさい」

 関口「飯田さん・・・?」

 武田「ほら、大阪の」

 関口「あぁ、いらっしゃいましたね」

 武田「僕も何回かしか会ったことないけど」

 関口「飛んだ、って?」

 武田「会社、つぶれたっぽい」

 関口「えーマジで」

 武田「身近ってわけじゃないけど、はじめて聞いたよ」

 関口「うん、激レアだよね」

 武田「でもさ、怪しくね?」

 関口「うん、怪しい」

 武田「彼、めちゃくちゃ儲かっていたよね」

 関口「何もしないで、毎日家で寝ていてもつぶれないレベルだよね」

 武田「ということは・・・」

 関口「利益確定かな」

 武田「やっぱそう思う?」

 関口「あの会社つぶれるようなら日本経済終わりだわ」

 武田「だよね」

大阪の飯田さんの会社がつぶれた、という話だったのですが。

私も、武田さんも、それを倒産と見ていないのです。
単に会社を清算したことを、表向きに倒産といっているだけ、と判断したのです。

なぜ、私たちがそのような解釈をしたかというと、
飯田さんの会社がかなりも受かっているのは知っていましたし、
一朝一夕で倒産するような業態ではなかったからです。

それにも関わらず、
なぜ、飯田さんは会社をたたんだのでしょうか。

それは、事業を清算し、利益を確定する狙いがあったからだと予想されます。
要するに、儲かりすぎていましたが、
いずれピークを過ぎる時が来ます。

その時に、高コスト体質の会社になっていたのでは
お金を残しての撤退が難しくなります。

ゆえに、身軽なうちに・・・という心理が働いたのではないか、と。

事実、儲かっている会社ほど、
利益確定のための閉店を意図的に行う傾向があります。

「儲かっているなら、そのお金を運用して、事業展開を拡大すればいいじゃないか」

そういった意見もあるようですが。
残念ながら、従業員で、
新たな事業展開に対応していけるような方は、それほど多くありません。

したがって、やがてピークを過ぎて衰退に向かうであろう事業の従業員を抱えつつ、
新たな事業展開のために別途従業員を採用するという拡大路線を歩まざるを得なくなります。

それをくり返した結果、
採算の取れない事業がどんどんたまっていく一方で、
人件費は増加の一途をたどります。
そのような背景で業績不振にあえいでいるのが、今の日本の大企業です。

日本は被雇用者保護の法律が強いので、
よほどのことでも無い限り、
終身雇用をすることが暗黙の了解となっています。

加えて、人員整理などしようものなら、
即座に不買運動などに発展するリスクも高くなっております。

以上のことから、儲けたお金を別の事業で運用するといっても、
同じ会社でそれをやるべきではないのです。

一度精算して、利益を確定した上で、
事業をゼロから仕切り直す方がリスクをおさえることが出来るのです。

そして案の定、その数ヶ月後には、
飯田さんは大阪で別事業の会社を立ち上げました。
はじめから従業員30名を抱えるような大所帯ですが、
以前の会社をはるかに上回るペースで成長し続けているようです。

ともあれ、こういった展開ではありますが、
データの上では「飯田さんの会社は創業7年で閉店」ということになります。

「いや、でも、それは飯田さんに限った話ではないのですか」

そういう声もあるかもしれません。

しかし、私と武田さんの会話を思い出していただきたいのですが。

私たちは、会社がつぶれた、と聞くとまず
「利益確定だな」と考えるような習慣が身についています。

そうなのです、それくらい、この手の閉店はありふれたことなのです。

それにも関わらず、なぜ、その手の話が表立って出てこないのでしょうか。

理由は大きく2つあります。

まず1つ目の理由が、お客さんが取引リスクを感じやすくなるからです。

取引を開始した会社が
数年後には利益確定をする可能性が高いと考えると、
それをリスクと考えて取引を見送るという場合があります。

基本的にお客さんは、
取引をする会社が、それは現実的ではないながらも、
半永久的に存在し続けるという前提で商品を購入しています。

自動車を買うならば、
明日その自動車会社が利益確定のための精算をして、
以降の保証が受けられなくなるといった発想はまずないと思います。

もちろん、会社を清算したところで、
その後の保証はしっかりとしてもらえるわけですが。

それにしても、会社が存続し続けてくれた方が、
お客さんとしては安心ですよね。

そして2つ目の理由が、
従業員をコントロールしやすくするためです。

いくら儲かっていても、
経営者が利益確定するために
ある日突然、会社を清算するということを知っていたら、
従業員の方は意欲的に働こうと思うでしょうか。

おそらくは、ほとんど全ての従業員は、マジメに、頑張っている限りは、
そして会社が儲かっている限りは、
雇用の安定は保証されると信じています。
良くいえば、会社を信頼していて、
悪くいえば会社に依存している状態です。

それゆえに、利益確定のための精算という概念は、
表に出さない方が起業家や経営者としては都合が良いのです。

「なるほど理屈はよくわかりました。
でも、データは倒産率90%と出ているように
業績不振でつぶれる会社もあるのではないでしょうか」

そうですね、ゼロではないと思います。

ちなみに、世間に浸透している
10年後倒産率90%のデータの出所はよくわかりませんが・・・。

帝国データバンクのデータですと、
10年後倒産率はわずか30%未満。
実に70%以上の会社は存続していると出ています。

母集団の違いや、倒産の定義の違いがあると思われますが。

いずれにせよ、こちらの数字の方がより実態に近いと感じますし、
むしろそれでも多いようにすら思います。

それくらい、業績不振による倒産というのは珍しいものなのです。




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